先ず泡の内側は前回書いたようにビール液中の炭酸ガスで、覆っている膜は麦芽由来のタンパク質とホップ由来の樹脂の持つ粘性物質によって形成されています。この粘性物質が泡を破裂させずに保持する要因です。しかも、ホップ由来の樹脂が作る泡なので、泡は苦みを吸上げる効果があるとよく言われる由縁でもあります。
さて、その膜の構造は「疏水基/親水基/ビール液/親水基/疏水基(*)」の界面活性構造を形成し、親水基部分の内側を流れるビール液の重力によって膜は次第に薄くなり最後に破裂します。
この様な構造の泡は小さい程、膜中のビール液量が少なく保持時間が長くなるので、キメ細かくクリーミーな泡ほど良い泡と言えるのです。 さて、良く「泡まで旨い!」と言う人がいますが、本当に旨いのか?ですが、泡の構造から分かるように、炭酸ガスは清涼感、タンパク質は豊潤さ、ホップの樹脂はほろ苦さを感じさせます。従って原料にこだわって造られた旨いビールは「泡まで旨い!」筈です。
* 疏水基:水と結びつきにくい、水に溶けにくい、また、物の表面で水が薄く広がらないで水滴となるなどの性質を持つ原子団
新水基:水と結びつきやすい、水に溶けやすい、また、物の表面に水が薄く広がるなどの性質を持つ原子団