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マイクロブルワリーを開業するための初期投資と資金調達

Last updated on 2023年12月7日

■目次

  1. マイクロブルワリーとは?
    • マイクロブルワリーの定義と特徴
    • マイクロブルワリーの歴史と現状
  2. マイクロブルワリーの初期投資
    • 開業に必要な設備とその費用
    • 場所とその費用
    • 人件費とその予算
    • その他の初期投資
    • 初期投資の見込み数量と製造量
  3. マイクロブルワリーの資金調達
    • 銀行からの融資
    • クラウドファンディング
    • プライベート投資家からの資金調達
    • 政府からの補助金
  4. マイクロブルワリーの運営
    • ビールの生産とその特徴
    • ビールの販売とマーケティング
    • 利益の最大化のための戦略
    • ブルーパブとその効果
  5. マイクロブルワリーの成功事例
    • 国内外の成功事例
    • 成功したマイクロブルワリーの特徴
    • ブランディングとその重要性
  6. マイクロブルワリー開業のまとめ
    • 開業に向けたステップ
    • 注意点とアドバイス
    • ビジネスとしての差別化

1. マイクロブルワリーとは?

マイクロブルワリー_ビール

マイクロブルワリーの定義と特徴

マイクロブルワリーとは、小規模なビール醸造所のことを指します。1994年の酒税法改正により、ビール醸造の免許に必要な年間最低製造量が200万ℓから6万ℓに引き下げられ、全国に多数の小規模なビール醸造所が誕生しました。これらの醸造所で製造されたローカルブランドの「地ビール」ブームが起こり、その数は99年末には全国の「地ビール製造免許場」の数が260を超えました。現在では、677ヶ所で醸造されています。(※2022年末時点)

マイクロブルワリーは、比較的味へのこだわりが強いクラフトビールファンを主な顧客層としています。そのため、自社製ビールの独自性などについて説明しながら直接ユーザーへ提供できる「ブルーパブ」を併設するスタイルも珍しくありません。また、ウェブサイトやSNSを活用し、製品の魅力を広く発信するというプロモーションも大切です。

マイクロブルワリーの歴史と現状

マイクロブルワリーの歴史は、1994年の酒税法改正に始まります。この改正により、ビール醸造の免許に必要な年間最低製造量が大幅に引き下げられ、小規模なビール醸造所の開業が可能となりました。これにより、「地ビール」ブームが起こり、全国に多数のマイクロブルワリーが誕生しました。

現在では、マイクロブルワリーはクラフトビール業界における重要な存在となっています。その数は増え続けており、各地で様々な特色を持つビールが生産されています。また、マイクロブルワリーが提供するビールは、その独自性と高品質さから多くのビール愛好家に支持されています。

しかし、マイクロブルワリー市場は競争が激しく、成功するためには差別化が重要となっています。「どんな製品」だけでなく、「どう売るか」という全体のコンセプト設計力も重要となります。風味だけでなく、ネーミングやラベルデザイン、PRの方法などにもそのコンセプトが表れていることが望ましいです。これら全てを一人で行う必要はないですが、基本的な方向性を定め、完成品の善し悪しを判断する力は欠かせないと言えるでしょう。

2. マイクロブルワリーの初期投資

マイクロブルワリーの初期投資

開業に必要な設備とその費用

マイクロブルワリーを開業するためには、まず必要な設備を揃える必要があります。その中心となるのが醸造設備です。醸造設備には、麦汁を作るためのマッシュタン、麦汁を煮沸するためのボイラー、発酵を行うためのファーメンターなどがあります。これらの設備の費用は、その規模や品質によりますが、一般的には数百万円から数千万円程度となります。

また、醸造設備だけでなく、ビールを製造するための原料や清掃用具、品質管理のための機器なども必要となります。これらの費用も合わせて考慮する必要があります。

場所とその費用

次に考慮するべきは、ビジネスを行う場所とその費用です。マイクロブルワリーを開業する場所は、その規模やビジネスモデルによります。小規模なブルワリーであれば、自宅やレンタルスペースを利用することも可能です。一方、レストランやバーを併設する場合や、大量のビールを製造する場合には、より広いスペースが必要となります。

場所の費用は、その場所の広さや立地条件、契約形態(購入、リース、レンタルなど)によります。都心部の商業地域に位置する物件は、郊外や工業地域に位置する物件に比べて高額になることが多いです。

人件費とその予算

ビールの製造や販売を行うためには、スタッフを雇う必要があります。スタッフの人件費は、その人数やスキル、経験によります。また、ビールの製造には特別な知識や技術が必要となるため、醸造家やビールソムリエなどの専門家を雇うことも考えられます。

人件費の予算を立てる際には、雇用するスタッフの人数や役割、必要なスキルや経験、市場の平均賃金などを考慮する必要があります。

その他の初期投資

上記の設備費、場所の費用、人件費の他にも、ビジネスを開始するためには様々な初期投資が必要となります。例えば、ビジネスの設立に関する手数料や許可申請の費用、マーケティングや広告の費用、保険料などがあります。

これらの費用は、ビジネスの規模や計画によりますが、全体の初期投資の一部を占めることが多いです。

初期投資の見込み数量と製造量

初期投資の見込み数量と製造量は、ビジネスの規模や計画によります。小規模なマイクロブルワリーであれば、初期投資は数百万円から数千万円、製造量は月に数百リットルから数千リットル程度となることが多いです。

これらの見込み数量と製造量を計算する際には、市場の需要や競争状況、自社の製造能力や販売戦略などを考慮する必要があります。

以上が、マイクロブルワリーの初期投資についての概要です。これらの情報を参考に、自分のビジネスプランを具体化し、成功への一歩を踏み出しましょう。

3. マイクロブルワリーの資金調達

マイクロブルワリーの開業には、大きな初期投資が必要です。しかし、その資金をどこから調達するかは、ビジネスの成功を左右する重要な要素です。以下に、資金調達の主な方法をいくつか紹介します。

マイクロブルワリーの資金調達

銀行からの融資

銀行からの融資は、最も一般的な資金調達の方法の一つです。しかし、新規事業への融資はリスクが高いと見なされるため、銀行から融資を受けるためには、事業計画の明確さや自己資金の有無などが重視されます。例えば、クラフトビール製造業を開業したAさんは、自己資金とビール醸造の経験を持っていたため、日本政策金融公庫から2,000万円の融資を受けることができました。

クラウドファンディング

近年、新規事業の資金調達方法として注目されているのがクラウドファンディングです。これは、インターネットを通じて多くの人々から少額の資金を募る方法で、リターンとして製品やサービスを提供します。例えば、アウグスビール株式会社は、株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO」を通じて、資金調達を行いました。

プライベート投資家からの資金調達

プライベート投資家、またはエンジェル投資家からの資金調達も一つの選択肢です。これらの投資家は、新規事業に投資を行い、その成功から利益を得ることを目指しています。ビジネスプランが魅力的であれば、大きな資金を調達することが可能です。

政府からの補助金

政府や地方自治体は、新規事業や中小企業を支援するための補助金や助成金を提供しています。これらの補助金は返済不要であるため、資金調達の一部として活用することができます。ただし、申請には一定の条件があり、競争率も高いため、事前にしっかりと調査し、適切な申請書類を準備する必要があります。

マイクロブルワリーの開業は、大きな挑戦ですが、適切な資金調達を行うことで、その夢を現実にすることが可能です。資金調達の方法は一つではありません。自身のビジネスプランや状況に最適な方法を選び、資金調達を行うことが重要です。

4. マイクロブルワリーの運営

ビールの生産とその特徴

マイクロブルワリーでのビール生産は、大規模なビール工場とは異なり、手作業と独自のレシピが特徴です。一般的に、マイクロブルワリーでは、麦芽、ホップ、水、酵母といった基本的な原材料からビールを醸造します。しかし、その中には、地元の食材や季節のフルーツを加えるなど、独自の創造性を発揮する余地があります。これにより、マイクロブルワリーは、大量生産されるビールとは一線を画した、独特の風味と個性を持つビールを提供することができます。

ビールの販売とマーケティング

ビールの販売においては、直接消費者に販売する直販が主流となります。これには、ブルワリー内のタップルームでの販売や、地元のイベントへの出店、オンライン販売などが含まれます。また、マーケティングにおいては、ソーシャルメディアを活用した情報発信や、地元メディアとの連携、口コミによる評判形成が重要となります。特に、自社のビールがどのように作られ、どのような特徴を持つのかを伝えるストーリーテリングは、消費者との強い絆を作り出す効果的な手段となります。

利益の最大化のための戦略

利益を最大化するためには、生産効率の向上、販売戦略の最適化、コスト管理の徹底が必要です。生産効率を向上させるためには、適切な設備投資や生産プロセスの見直し、品質管理の強化が求められます。また、販売戦略の最適化には、販売チャネルの多様化や価格戦略の見直し、新商品の開発などが考えられます。さらに、原材料費や人件費などのコスト管理も、利益を確保するためには欠かせません。

ブルーパブとその効果

ブルーパブとは、自社で醸造したビールを直接提供する施設のことを指します。ブルーパブは、消費者と直接対話する場となり、自社のビールを試飲してもらう機会を提供します。また、ブルーパブでは、ビールの製造過程を見学できるツアーや、ビールに合う食事を提供することで、消費者にとっての体験価値を高めることができます。これにより、ブランドの認知度向上や顧客ロイヤルティの強化につながります。

5. マイクロブルワリーの成功事例

国内外の成功事例

日本の成功事例として、「ヤッホーブルーイング」が挙げられます。彼らは日本各地で地域の特産品や風土を生かしたクラフトビールを製造しており、そのユニークなビールたちが多くのビール愛好家から注目されています。

「ヤッホーブルーイング」の成功の要因はいくつかあります。まず、彼らは地域性を重視している点が大きな特徴です。地域の特産品や風土をビールに取り入れることで、地域の誇りや文化に根ざした商品を提供しています。これにより、地元の人々からの支持を受けるだけでなく、観光客や外部からの訪問者にも魅力的な体験を提供しています。

次に、ヤッホーブルーイングはインターネットやSNSを積極的に活用しています。オンラインでの広報や販促活動を通じて、広い範囲の人々にブランドを知ってもらい、ファンを増やしています。また、オンラインショップを開設することで、全国のビールファンが彼らの商品を手軽に購入できるようになっています。

さらに、ヤッホーブルーイングは地域のイベントやフェスティバルへの積極的な参加を行っています。地元のコミュニティとの交流を大切にし、直接顧客とのコミュニケーションを図ることで、ファンの獲得と維持に成功しています。

これらの取り組みにより、「ヤッホーブルーイング」は地域に根ざしたクラフトビールのブランドとして成功を収め、多くの人々から愛される存在となっています。

海外では、ニューヨークのRockaway Brewing Companyが成功事例として挙げられます。彼らは教会を改装したユニークな雰囲気のブルワリーで、ビジターに対してホップや酵母、設備、ニューヨークのクラフトビールの歴史について学べるツアーを提供しています。

成功したマイクロブルワリーの特徴

成功したマイクロブルワリーにはいくつかの共通点があります。まず、品質にこだわり、独自のビールを提供していることが挙げられます。また、地元のコミュニティとの強い結びつきを持ち、地域の文化や特性を反映したビールを醸造していることも成功の要因となっています。

ブランディングとその重要性

マイクロブルワリーの成功には、ブランディングが重要な役割を果たします。ブランディングは、ビールの品質だけでなく、ブルワリーの物語や価値観、ビジョンを伝える手段です。成功したマイクロブルワリーは、自身のブランドを通じて、消費者との強い絆を築き、忠誠心を育むことができています。

例えば、Rockaway Brewing Companyは、そのユニークな教会風の建物やアートワークで、ブルワリーの個性と物語を伝えています。また、August International株式会社は、「Brewery as a service」カンパニーとしてのブランドを確立し、クラフトビール事業者の成功を支援するというビジョンを伝えています。

これらの事例から学ぶことは、マイクロブルワリーが成功するためには、優れたビールを醸造するだけでなく、強力なブランドを構築し、そのブランドを通じて消費者との強い絆を築くことが重要であるということです。

6. マイクロブルワリー開業のまとめ

開業に向けたステップ

マイクロブルワリーの開業は、一見すると難しそうに思えますが、実際には以下のようなステップを踏むことで実現可能です。

  1. ビジネスプランの作成: マイクロブルワリーの初期投資を計画するためには、まずビジネスプランを作成することが重要です。これには、ビジネスの目的、目標、市場分析、販売戦略、財務計画などが含まれます。
  2. 資金調達: マイクロブルワリーの開業には大きな初期投資が必要となります。資金調達の方法は多岐にわたり、自己資金、銀行ローン、投資家からの資金調達などが考えられます。
  3. 設備の購入: ビールの醸造に必要な設備を購入します。これには、醸造機器、発酵タンク、フィルタリングシステムなどが含まれます。
  4. ビールのレシピ開発: ビールのレシピを開発します。これは、マイクロブルワリーの個性を表現する重要な部分であり、消費者の興味を引くためには独自性が求められます。
  5. ライセンスの取得: ビールの製造・販売にはライセンスが必要です。ライセンス取得のための要件を満たし、申請を行います。
  6. ビールの製造・販売: ライセンスを取得したら、ビールの製造と販売を開始します。最初は小規模で始め、徐々に規模を拡大していくことが一般的です。

注意点とアドバイス

マイクロブルワリーの開業には、以下のような注意点とアドバイスがあります。

  • 市場調査: ビール市場は競争が激しいため、開業前に市場調査を行い、自分のビジネスが成功する可能性を評価することが重要です。
  • 資金管理: 初期投資だけでなく、運転資金も考慮に入れて資金計画を立てることが重要です。予期せぬ出費や売上不振に備えて、余裕を持った資金計画を立てましょう。
  • 品質管理: ビールの品質は、ビジネスの成功を左右します。品質管理を徹底し、一貫した品質を提供することが重要です。

ビジネスとしての差別化

マイクロブルワリーのビジネスとしての差別化は、競争力を持つために不可欠です。以下のような方法で差別化を図ることができます。

  • 独自のレシピ: 自分だけのビールレシピを開発し、他のブルワリーとは異なる味わいを提供します。
  • 地元産の原料の使用: 地元産の原料を使用することで、地域性を打ち出し、消費者の関心を引くことができます。
  • ストーリーテリング: ビールやブルワリーにストーリーを持たせることで、消費者とのつながりを深め、ブランドの魅力を高めることができます。

7.マイクロブルワリーの運営

ビールの生産とその特徴

マイクロブルワリーでのビール生産は、大規模なビール工場とは異なり、手作業と独自のレシピが特徴です。一般的に、マイクロブルワリーでは、麦芽、ホップ、水、酵母といった基本的な原材料からビールを醸造します。しかし、その中には、地元の食材や季節のフルーツを加えるなど、独自の創造性を発揮する余地があります。これにより、マイクロブルワリーは、大量生産されるビールとは一線を画した、独特の風味と個性を持つビールを提供することができます。

ビールの販売とマーケティング

ビールの販売においては、直接消費者に販売する直販が主流となります。これには、ブルワリー内のタップルームでの販売や、地元のイベントへの出店、オンライン販売などが含まれます。また、マーケティングにおいては、ソーシャルメディアを活用した情報発信や、地元メディアとの連携、口コミによる評判形成が重要となります。特に、自社のビールがどのように作られ、どのような特徴を持つのかを伝えるストーリーテリングは、消費者との強い絆を作り出す効果的な手段となります。

利益の最大化のための戦略

利益を最大化するためには、生産効率の向上、販売戦略の最適化、コスト管理の徹底が必要です。生産効率を向上させるためには、適切な設備投資や生産プロセスの見直し、品質管理の強化が求められます。また、販売戦略の最適化には、販売チャネルの多様化や価格戦略の見直し、新商品の開発などが考えられます。さらに、原材料費や人件費などのコスト管理も、利益を確保するためには欠かせません。

ブルーパブとその効果

ブルーパブとは、自社で醸造したビールを直接提供する施設のことを指します。ブルーパブは、消費者と直接対話する場となり、自社のビールを試飲してもらう機会を提供します。また、ブルーパブでは、ビールの製造過程を見学できるツアーや、ビールに合う食事を提供することで、消費者にとっての体験価値を高めることができます。これにより、ブランドの認知度向上や顧客ロイヤルティの強化につながります。

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